新しい時代を前に

世はまさにIT(情報技術)革命の真っただ中です。また、地球環境の危機的状況に直面しています。長い人類の歴史の中でも特筆されるべき急激な変化が訪れようとしています。   
人類は、直立歩行を始めた革命的な出来ごと以来、農耕に目覚めた農業革命、都市が成立した都市革命、高度宗教や哲学が誕生した精神革命、そして科学技術革命など5つの革命的変化を乗り切って、今まさに第6の革命とも呼ぶべき大変革に直面しています。ITの進展が私たちの生活に革命的変化をもたらしています。同時に地球環境の危機に対応すべき地球全体を考えなくてはならない時代を迎えています。この第6の革命は、よく見ると、ITと地球環境の革命的変化が同時に発生していると言っても良いでしょう。
 IT革命が今後どのように私たちを導いていくのか誰にもわかりません。ただ一つわかっているのは、コンピューターは機械であり、計算機であるということです。様々な知識を記憶し、その組み合わせなどで人間の能力の一部を超えていますが、それは単純計算の積み重ねです。人類の生き方は私たちが決めなくてはいけません。人間はコンピューターを使いこなさなければなりません。その原点は人間性を養うことでしょう。教育では、これまでの記憶中心の勉強から脱皮し、知性、芸術、スポーツ、自然体験などを教える必要があります。
もう一つの地球環境の危機は、一国だけが頑張っても駄目です。先進国だけでも危機を回避できない。途上国も含めて全人類が協力しなくてはいけません。国家中心のこれまでの常識では解決できません。人類全体を考える新しい考え方が必要です。これはコロナで学習した通り、先進国だけがコロナを封じ込めても、途上国で変形コロナが発生すれば瞬く間に世界に広がってしまいます。
 青森山田学園は2018年に創立100周年を祝いました。今は第二世紀に入っています。新しい時代、二つの革命的事象に対応できる学校に脱皮していかなくてはなりません。新たな挑戦が始まります。未知なる道程ではありますが、それ故に、身も心も奮い立ちます。
 私立学校とは建学の理念に基づいて、国公立にはない特色ある教育を実践するところに意義があります。言い換えれば国の主張とは異なった主張をしても良い。国が戦争をしようとしてもそれに反対できるのです。その反面、自主独立が求められ、経済的にも国に頼らない基盤が必要です。経営の独立なくして研究・教育の自由なし、なのです。
 時代の流れと建学以来の理念を勘案しつつ、青森山田学園は21世紀、22世紀に向けて、あくなき挑戦をし続けて参ります。園児、生徒、学生の皆さん、保護者の皆様、卒業生の皆様そして地域の皆様に支えられて、私たち教職員一同、理想の学園建設に邁進いたします。


理事長 岡島成行

若者たちが新しい街をつくり、若者たちが次なる文化を創造し、それを私たちが支えます

時代は新たな「令和」のときを迎え、歴史と伝統に培われたわたしたちの青森山田学園もまた、次なる栄光の100年に向けてその第一歩を歩み始めました。
「Healthy spirit dwells in a healthy body」という言葉があります。「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」と訳されてはいますが、ローマの詩人ユベナリスが「風刺詩集」第10編で謳った、「大欲を抱かず、健康な身体に健全な精神が宿るよう祈らなければならない」という文言の一部が訳されたことで、それがのちに広まった言葉であるとも伝えられています。
我が青森山田学園は、世界に名だたる輝かしい経歴に彩られたスポーツ選手たちを数多く輩出してきたという、国内外に誇るべき素晴らしいレガシーがあります。しかし、決してそれだけにとどまるものではありません。
地元に根差した教育の発展に寄与し続けてきた実績だけではなく、幼稚園から中学・高校、専門学校、そして大学と、それぞれの学ぶ領域に配慮しつつ、一貫した教育環境のもと、数多の卓越した人材を様々な分野に送り込んできました。
さらには、本州最北端の県庁所在地における教育機関としての役割という位置づけから大きく飛躍し、岡島理事長の21世紀を見据えた高邁な理念のもと、このたび「青森大学 東京キャンパス」が新たに設置され、青森と首都圏、そして首都圏とアジアを含めた諸外国との教育連携を進めるまで、大きく羽ばたくこととなりました。
「知性」とは、物事を知り、考えたり判断をする能力のことです。前途ある若人は、その大切な「知性」を磨き、それと同時に「身体」もまた鍛え上げることで、来るべき新たな時代へと果敢に挑戦していかなければなりません。
若者たちが新しい街をつくり、若者たちが次なる文化を創造していくからです。
それを、わたしたち青森山田学園は、しっかりと支え続けていきます。

学園長 佐々木誠造